非常勤から会計年度任用職員へ
2017年度の法改正によって、2020年4月から「会計年度任用職員」の運用がはじまりました。
制度が改正されたワケ
1つ目は今までの任用制度はあいまいで、各自治体で運用方法が異なっていたから。
本来であれば学識や経験を有する人を雇うための特別職ですが、自治体によってはそうでない人を採用していることもありました。にもかかわらず、地方公務員法が適用されないので、守秘義務や制約もなかったのです。
また、一般職非常勤職員の採用方法が明確に決まっていなかったため、自治体によって採用試験の有無が違ったり、そもそも採用の有無も異なっていました。
2つ目は待遇を改善するため。
今までの非正規職員は、
- 何年経験を積んでも給料が上がらない
- ボーナスが支給されない
- 正規職員とほとんど同じ時間働いているにもかかわらず、夏季休暇などの特別休暇がない
- 各種手当の支給がない
など、正規職員の待遇と比べると、冷遇されていました。
特にボーナスは、国家公務員の非常勤職員は支給可能でしたが、地方公務員の非常勤職員には支給できないなど、国と地方での格差もありました。
そこで「会計年度任用職員」としての運用が開始されたのです。
表で見る、会計年度任用職員
今までとこれからの違い
今まで | これから | 今までと何が違うのか |
特別職非常勤職員 | 特別職非常勤職員 | 「学識・経験がある人」に厳格化 |
臨時職員 | 臨時職員 | 常勤職員に欠員が生じた時「のみ」採用 緊急のため選考等の能力実証を行わない |
臨時職員 | 会計年度任用職員 | 「フルタイム」と「パート」に区分 |
一般職非常勤職員 |
「会計年度任用職員」はフルタイム勤務とパート勤務に分類されますが、
- フルタイムが勤務時間「38時間45分」(1日7時間45分勤務×5日間)
- パートタイムが勤務時間「38時間45分未満」
という違いです。
フルタイムとパートタイムの違い
フルタイム | パートタイム | |
期末手当 | あり | あり |
通勤手当 | あり | あり |
時間外手当 | あり | あり |
退職手当 | 一定の条件で支給 | なし |
メリットとデメリット
メリット
昇給がある
今までの非常勤職員や臨時職員は、正規職員と同じ仕事にもかかわらず低賃金で働いていたり、立場が曖昧だったりするという問題がありました。「会計年度任用職員」となったことで、給与は正規職員の給与を基準に、勤務時間や勤務日数に応じて算定するようになりました。
また、いままでの制度では昇給がありませんでしたが、1年間で4号級程度昇給するようになりました。
ボーナスや手当がある
今まではボーナスというものが支給されてこなかったのですが、「会計年度任用職員」は6ヶ月以上勤務があれば、ボーナス(期末手当)が支給されます。さらに今までは時間外手当や通勤手当がありませんでしたが、これらについても支給すべきとなりました。
ただし、正規職員とは異なり、勤勉手当は現在のところ支給されません。ただ、検討課題とはなっているので、今後範囲がさらに拡大する可能性はありますね。
また、産前産後休暇を取得することはできますが正規職員と異なり無給、住居手当や扶養手当は支給の対象外です。
特別休暇が取得できる
採用1年目の場合、勤務時間などに応じて10日以内で有給休暇が付与され、20日を上限として翌年度に繰り越しが可能となります。
夏季期間に付与される夏季休暇も、取得できるようになりました。
異動がない
正規職員とは異なって異動がないので、1つの課で働き続けることができます。
デメリット
服務規程の適用
公務員には、職務専念義務や政治的行為の禁止などの服務規程があるのですが、「会計年度任用職員」にも適用されることになりましたので注意が必要です。
任用期間は1年
「会計年度任用職員」はその名のとおり、「会計年度」で「任用」される「職員」です。
年数の制限はありませんので、会計年度任用職員を長年続けることは可能ですが、任用期間はあくまで1年。来年の雇用が約束されない不安定な身分であるのは確かです。
実際には?
- 【メリット】
- キッチリ定時で帰ることができる
- 育児や介護に理解がある職場
- 休憩時間をきっちりもらえる
- 責任ある仕事や判断に困る仕事は、正規職員に判断をあおげばいい
- 時間外手当が支給される
- 【デメリット】
- 正規職員は数年で異動するため、長期間働いている非正規が頼りにされることもある
- ボーナスがある、が、そもそも普段の給料が民間に比べて低い
- 1年間任用のため、長期的な計画が立てづらい
まとめ
以上、会計年度任用職員の制度、メリットとデメリット、実際の声についてお話してきました。